著者
Sohn H.-J. Kim J.-H. Choi K.-S. Nah J.-J. Joo Y.-S. Jean Y.-H. Ahn S.-W. Kim O.-K. Kim D.-Y. Balachandran A.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.855-858, s・vii, 2002-09-25
被引用文献数
1 101

7歳雄のヘラジカ(Cervus elaphus nelsoni)が体重減少,削痩,過度な流涎,歯軋り,発熱,食欲不振および呼吸困難の症状を3週間呈した後に,安楽殺され,剖検された.このヘラジカは1997年3月9日にカナダから韓国に輸入された.肉眼病変は瀰漫性の線維素性肺炎であった.組織学的には軽度な神経細胞の空胞変性と限局した脳幹部神経核の神経網の海面状変性と広範な星状膠細胞の増生が見られた.プロテアーゼ抵抗性プリオン蛋白質(PrP^<res>)に対する免疫組織化学では全ての脳組織切片で陽性であったが,延髄の閂の切片で最も顕著であった.PrP^<res>は脳および脊髄のウエスタンブロット法でも検出された.本ヘラジカと接触のあった残りのヘラジカおよびシカは淘汰され,慢性消耗性疾患は陰性であった.著者らの知る限りでは,本症例は米国およびカナダ以外の国での最初の症例であった.
著者
Shin J.-H. Sohn H.-J. Choi K.-S. Kwon B.-J. Choi C.-U. Kim J.-H. Hwang E.-K. Park J.-H. Kim J.-Y. Choi S.-H. Kim O.-K.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-7, 2003-01-25
被引用文献数
1 15

韓国は1934年以来口蹄疫の発生はなかったが,2000年3月から4月にかけて15箇所でOタイプの口蹄疫発生が生じた.同時期に台湾,中国,日本,ロシア,モンゴルでも,牛または豚にOタイプの口蹄疫発生が報告された.南北朝鮮境界非武装地帯から約5kmに位置する農場において口蹄疫擬似患畜が検出され,緊急調査を行った.病原ウイルスは,3D polymerase 領域,IRES領域,1D/2B領域を対象としたRT-PCR,抗原検出および型別検出用ELISAにより,口蹄疫ウイルスOタイプであることを同定した.発病牛の水疱を材料として1D/2B領域の塩基配列を調べた結果,台湾で分離された口蹄疫OタイプKinmen株と98%の類似性が認められた.原因ウイルスは若齢マウス経代後,黒ヤギ胎児肺細胞接種により分離された.