著者
田中 義文 橋本 悟 夏山 卓 重見 研司 木下 隆 智原 栄一 TAKIZAWA Yousuke
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.312-318, 1988

アナログデータレコーダーは, 心電図を含め生体信号を長時間連続記録でき, その再現が容易であるために臨床生理学的分野には欠かせない汎用計測機器である. しかしながら装置も大きくまた高価であるために手術室で日常利用する機会は少ない. そこでわれわれは汎用集積回路を用いて可聴域のFM変調と復調のアダプターを試作し, 市販のカセットテープレコーダーをもちいた心電図記録装置を開発し, その性能について検討した. 最も単純な回路構成でもDCレベルより20Hzまでの直線性を得ることができ, その心電図記録は十分実用になることが明らかになった. 安価な本装置を個々の心電図モニタースコープに装着すればテープレコーダーをフライトレコーダーやタコグラフのごとく利用することができ, 突発的な不整脈や循環虚脱に対しても確実な記録ができるゆえ医療技術の向上に役立つと考えられる.