著者
山本 豊 Tani Tadato
出版者
和漢医薬学会
雑誌
和漢医薬学雑誌 (ISSN:18801447)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.27-35, 2006-02-20
被引用文献数
2

我々は中国内蒙古自治区で栽培甘草の実生産を目指した研究を行っている。我々が栽培している植物は,その花と果実の形態からGlycyrrhiza uralensisであることを推定している。今回,基原植物を確認するために中国で薬用にされている3種のGlycyrrhiza属植物(G. uralensis, G. inflata, G. glabra)が自生している新彊維吾爾自治区(Xinjiang Uygur Autonomous)を調査した。3種のGlycyrrhiza属植物の果実の形態を見比べた結果,我々が栽培している植物がG. uralensisであることを確認した。今回の調査において,日本の薬局方に適合する甘草が新彊維吾爾自治区で流通していることも明らかになり,さらにG. uralensisの栽培生産も行われていることを確認した。このようなことから収穫地を管理しG. inflata根に特異的な成分(licochalcone A)を含まないことを確認すれば新疆維吾爾自治区で産するG. uralensis根を薬用甘草として輸入することが可能である。