著者
荒川 友幸 和栗 夏海 Tomoyuki ARAKAWA Natsumi WAGURI
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.3, pp.123-133, 2007

カザフスタンは、日本の文化的プレゼンスが希薄で、日本語の実際的需要が希少な状況ある。日本センターの初級クラスでは、日本事情・文化紹介を授業中に行うことも重視しているため、日本語の語学学習時間数が限られてくる。そこで、『みんなの日本語』の各文法項目を重要度・難易度・使用可能性を勘案して、授業中に扱う比重を変えた。例えば、14課はテ形が最重要項目であるので、練習Aの「2.左へまがってください」は授業中に定着、使用できるところまで練習するが、「4.てつだいましょうか」は紹介するだけある。海外の現場では、日本国内の学習者向けに開発された教科書が使用されてきた。しかし、学習時間数や期間、そして学習者を取り巻く日本語環境が大きく異なることから、海外の環境に適合した教科書の開発が待たれている。本稿は、その第一歩として位置づけることもできる。