著者
村瀬 洋 Vinod V.V.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.2035-2042, 1998-09
被引用文献数
116

本論文では, 画像中に興味ある物体が含まれているかどうか, その位置はどこかを高速に探索するアクティブ探索法について述べる.位置と大きさが不明な物体を画像中から精度良く検出するには, 従来は, 入力画像中の局所領域に着目し, その位置と大きさを変化させながら, 局所領域と参照画像との膨大な回数の照合を行う必要があり, 高速な物体検出は困難であった.本手法では, 物体の形状変形などに安定な色ヒストグラムを特徴として利用し, ヒストグラムの代数的な性質を利用することにより, 特徴照合の際に, 入力画像中のある位置の類似値からその近傍の類似値の上限値を計算する.上限値が探索値より小さければ, その領域での探索が省略できるため, 照合回数を極端に低減できる.本手法により, 総当り法に比較して, 近似を使うことなく, 計算時間を10倍から1000倍程度向上できることを実証した.物体の追跡, 検索, 計数などへの応用例についても述べる.