著者
Voas Jeffrey M. 福田 収一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.1040-1043, 2006-12-01

本稿では,ソフトウェア工学の研究,実務における13の重要な課題を明らかにする.すなわち,(1)ソフトウェアの品質とは何か?(2)現在のソフトウェアの技法の背景にあるROI(投資利益率),そして経済とは何か?(3)プロセス改善(process improvement)は重要か?(4)ソフトウェアメトリックスを信用できるか,あるいは解釈ができるか?(5)ソフトウェア工学の基準は余りにも混乱しており,実装,法令順守(compliance)が困難ではないか?(6)なぜ,競合する基準に相互運用性のプリディクター(interoperability predictor)がないのか?(7)遺産的ソフトウェア(legacy software)とそのデコミッショニングをいかに処理するか?(8)テスト終了について使用すべき妥当な基準があるか?(9)COTS(Commercial Off-The-Shelf Software:市販の既成ソフトウェア)にはほとんど相互運用性,結合可能性(composability)がない.なぜか?(10)信頼性評価法,オペレーショナルプロファイルはしばしば疑わしいとみなされる.何が本当のオペレーショナルプロファイルなのか?(11)「…性」を基本にした設計は,ないものねだりの希望的観測である.技術的,あるいは経済的にどのように対応すればよいのか分からない問題である.(12)ソフトウェアの認証(software certification)は必要である.しかし,どのようにしてそれを実施するか,また,それに関連した責任をどのようにとればよいか分からない.(13)インテリジェンス,自律形コンピューテイングは結構である.でも実現可能か?