著者
後藤 晃 WOOLGAE LeeRichard WOOLGAE Lee Richard
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

この研究テーマは、日本の国立大学は法人化後、どのような方針や組織改革を導入しているかという研究である。大学の研究結果が社会と民間企業に貢献することが期待されている。このことに基づいて、大学の産学連携組織と産学連携戦略的な方針が重要になった。研究は21の国立大学産学連携担当副学長、産学連携組織の長、産学連携コーディネーターへのインタービューと、国立大学、私立大学へのアンケート、さらに公開された資料とビブリオメトリクスにもとづいておこなった。これにより、国立大学における産学連携戦略目標(研究機会の増進)、重要な産学連携の相手となるセクター(医薬、農業・食品)があきらかになった。また、個々の大学による多様な大学改革の取り組みがわかった。この改革は政策的なものと組織的なものとがあり、組織的な改革としては「知的財産戦略本部」、「産学連携委員会」や「産学窓口一体化」、政策的な改革は「知的財産政策」、「産学連携方針」、「利益相反ガイダンス」の導入などがある。そのほか、大学の産学連携に関しての報奨、スタッフの採用と評価などについても調査した。産学連携の促進のためには、「産学連携に関する業務の職員のスキル」が重要な問題である。2003から2005年までの間に、国立大学が多様な改革を導入しているが、政府からの助成は依然として財政的には圧倒的に重要である。しかし、2005年から2010年までの期間においては、共同研究が重要となってきているという変化も見られる。