著者
伊藤 薫 Wolf Kay N.
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.422-427, 2009 (Released:2011-12-29)

アメリカにおける管理栄養士(registered dietitian;RD)教育制度を学ぶため、オハイオ州立大学で研修を行っている筆者が、現在のアメリカでの教育制度と日本における制度の相違を報告する。アメリカでのRD 養成プログラムには、学外実習900 時間(2009 年度からは1 , 200 時間に延長)が組み込まれており、アメリカでは実践教育を重要視している。アメリカのRD 教育には、アメリカ栄養士会(ADA)の関連機関である2 つの組織が関わっている。RD 養成大学についてはCommission on Accreditation of Dietetic Education(CADE) が大学教育について認定、管理運営を行い、資格認定試験と卒後教育はCommission on Dietetics Registration(CDR)が行っている。認定試験の内容は学外実習で実践して学んだ内容が主となっているため、実践活動を身につけることが大学教育では必要なことであり、アメリカの高いレベルの実践教育制度は、卒業後のRD としての即戦力と社会的地位の高さを保証しているあり方へもつながる。アメリカでは学生の段階でRD の実務を多く経験できることが、将来の就職先の選択や即戦力としての実務能力の向上に非常に重要である。