著者
小島 弥生 田中 道弘 Yayoi KOJIMA Michihiro TANAKA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.113-125, 2020-12-01

先行研究(田中・小島, 2019)に引き続き、諦観傾向尺度の構成概念妥当性を検討することが本研究の目的であった。諦観傾向の強さは自己肯定感との間に負の相関関係があると想定した。また、諦観傾向と自己愛との間の相関、諦観傾向と友人関係への態度(深い友人関係を望むか否か、広い友人関係を望むか否か)との間の相関についても探索的に検討した。予測どおり諦観傾向と自己肯定感の間には強い負の相関が示されたほか、諦観傾向と自己愛の下位概念である主導性との間に弱い負の相関がみられた。また、諦観傾向と友人関係への態度の間には性差がみられ、男性は諦観傾向が強いほど狭い友人関係を志向するのに対し、女性は諦観傾向が強いほど浅い友人関係を志向するという結果が得られた。
著者
小島 弥生 Yayoi KOJIMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-74, 2011-12-01

賞賛獲得欲求と拒否回避欲求という2つの異なる承認欲求について、先行研究においては個々の欲求が人の認知や行動に与える影響力や認知・行動との関連の検討は行われてきたが、2つの承認欲求がともに強い人の特徴は明らかにされていない。本研究では認知的方略としての防衛的悲観性が、2つの承認欲求がともに強い人にみられる認知的方略であることを明らかにすることを試みた。大学生を対象とした調査研究から尺度得点の比較を行い、賞賛獲得欲求と拒否回避欲求のともに強い人が防衛的悲観性を有している可能性が示唆された。
著者
小島 弥生 Yayoi KOJIMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.13, pp.83-96, 2013-12

大学生が学業場面で他者からほめられる際に、ほめ言葉を発する相手やほめ言葉が伝えられる状況が、ほめの受け手の心理的反応(感情・認知)にどのように影響を及ぼすかについて想定場面を用いた質問紙実験で検討した。実験参加者148名は相手(教員・同級生・後輩)と状況(直接・伝聞)を組み合わせた6つの実験条件のいずれか1つに割り当てられ、ほめ言葉の受けとめ方、相手のほめ行動の受けとめ方、場面から感じる感情(肯定的、否定的)を回答した。さらに、心理的反応を調整する個人差変数として、賞賛獲得欲求と拒否回避欲求を測定し、分析に投入した。結果は仮説の一部を支持し、直接ほめ言葉を聞かされる場合よりも第3者から相手のほめ言葉を伝え聞く場合の方が、ほめ言葉やほめ行動を肯定的に認知することが示された。ただし、教師が相手のほめの場合に状況間での認知の違いはみられず、同級生からほめられる場合に状況間での認知の違いが顕著となった。すべての条件において肯定的な感情が高く評定されていたが、賞賛獲得欲求はほめに対する肯定的感情を促進し、拒否回避欲求は肯定的感情を抑制する調整効果があることも示された。