著者
廣岡 秀一 横矢 祥代 Hirooka Shuichi Yokoya Sachiyo
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.111-120, 2006

本研究は、子どもの規範意識の実態を把握することと、日常生活に関する意識から規範意識が影響を受けている関係を探ることを目的とした。三重県内の小学生・中学生・高校生を対象に、日常生活で経験する可能性のあることがらについての社会的ルールや規則に対する認知を調査した結果、学年が上がるにつれて規範意識が低下すること、違法・暴力行為や迷惑行動に対する規範意識は、男子は学年が上がるほど低下するが、女子は中1~中2以降は低下しないということ、遊びや快楽を追求する行動に対する規範意識は女子の方が低いことを見出した。さらに、日常生活に関する意識と規範意識の関連を検討したところ、小学生は、一般的な大人にポジティブなイメージを抱いているほど規範意識が高いこと、中・高生は、大人から自分の行動を正当に評価してほしいと思っているほど規範意識が高いことが明らかになった。次に、学校で適応できていることが高い規範意識につながること、中・高生は、友人関係が良好なことが規範意識にネガティブな影響を与える可能性があること、さらに、友人関係が良好で学校に適応できていると感じていると規範意識が高いことが明らかになった。また、将来に見通しを持ち、自分の学習や社会的な活動に意味を見出していることが規範意識にポジティブな影響を与えることが明らかになった。