著者
米原 謙 ヨネハラ ケン Yonehara Ken
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.107-136, 2017-05

研究ノート(Note)日本型社会民主主義とは、英国労働党やドイツ社会民主党のような西欧社会民主主義、ボルシェヴィキのような前衛党を否定し、マルクス主義を堅持しながら民主主義の拡充を通じて社会主義革命を実現しようとする考えかたである。それは1920年代の山川均が試行錯誤の末にたどり着いた結論だった。山川は1920年代初めにはロシア革命とレーニンを支持し、第一次日本共産党の理論的中心だったが、20年代半ばから徐々に小ブルジョアを含む「協同戦線」を主張し、前衛党という考えかたを批判するようになる。