- 著者
-
岡本 真希子
オカモト マキコ
Okamoto Makiko
- 出版者
- 同志社大学人文科学研究所
- 雑誌
- 社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.4, pp.225-254, 2020-02
論説(Article)本稿は,日本の植民地統治下台湾における法院通訳の使用言語について,統治前半期(1898~1918年)に焦点をあてて検討し,北京官話への依存と脱却の過程を明かにする。第2章では台湾社会における言語使用状況を,1905年の臨時台湾戸口調査を用いて確認する。第3章では法院通訳の使用言語(官話/「土語」)に関する論争を,通訳制度(複通訳制度/単通訳制度)のあり方とともに検討する。第4章では,高等官法院通訳の合計10名の個々の経歴を用いて検討する。その際には,江戸時代から明治時代への移行期における北京官話学習者との関係に着目し,開国以降の近代日本の北京語学習者の軌跡を台湾からとらえかえすことも試みる。