著者
四方 由美 Yumi SHIKATA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-27, 2012-03-02

本稿は、「宮崎における女性史資料保存に関する研究」(平成20年度~平成22年度 宮崎学術振興財団地域貢献研究:研究代表者 四方由美)において作成した「宮崎地域女性史文献目録」及び「宮崎における女性の活動年表」を、地域女性史研究に位置付けることを目的とする。 研究の視座と目的を明確にするために、先行研究からフェミニズムと女性史、ジェンダー史の概況について整理を行い、さらに地域女性史の可能性について考察を行った上で、「宮崎地域女性史文献目録」及び「宮崎における女性の活動年表」を地域女性史研究に位置付けた。 また、これらの成果を宮崎における地域女性史の資料としてどのように活用することができるかを示した。地域女性史をみることは、空間的にも時間的にも点在する宮崎の女性たちの活動を線として繋げて力あるものとして再構築し、地域の問題にアプローチする契機につながる。
著者
四方 由美 Yumi SHIKATA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.61-69, 2004-03-20

現在、日本では男女共同参画をめぐってバックラッシュが起こっている。保守派の主張する争点は、①「らしさ」のしばりから自由を求める男女共同参画の動きは、あるべき「らしさ」を否定し、日本の文化や男女関係を破壊するのではないか、②「専業主婦」否定の動きではないか、③家族の絆を破壊するのではないかなどである。このようなバックラッシュが起こる背景には、フェミニズムに対するバックラッシュの高まりに加えて、男女共同参画の政策化にともなう反発があると考えられる。 また、バックラッシュは保守派によるものだけではない。男女共同参画を推進する立場にある立法・行政サイドにおいて、男女共同参画社会基本法に盛り込まれた「ジェンダー概念に基づく男女平等」の理念に対する理解が進まないため、この理念が運用面で排除される傾向がみられる。こうした動きは男女共同参画社会の推進を阻むだけでなく、新たな差別を生む事態に陥っている。男女共同参画についての政策そのものが矛盾を孕んでいることは、その大きな要因の一つである。 本稿では、このような観点から今日のバックラッシュ現象を考察することを通して、男女共同参画をめぐる議論を整理する。
著者
四方 由美 福田 朋実 Yumi SHIKATA Tomomi FUKUDA
出版者
宮崎公立大学人文学部
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.33-49, 2016

本稿は、2015年12月28日に行われた「日韓外相会談」に関する新聞報道(2015年12月24日から2016年1月23日の朝日新聞および読売新聞)の分析から、「慰安婦問題」に関する新聞の議題設定の状況を明らかにすることを試みたものである。分析の結果、「日韓外相会談」に関する新聞報道は、この会談が慰安婦問題を「解決」に向かわせる出来事として伝えたこと、慰安婦問題は韓国、米国、北朝鮮など他国との関係においても言及されることなど、いくつかの傾向を導出した。
著者
四方 由美 大谷 奈緒子 北出 真紀恵 小川 祐喜子 福田 朋実 Yumi SHIKATA Naoko OTANI Makie KITADE Yukiko OGAWA Tomomi FUKUDA 宮崎公立大学人文学部 東洋大学 東海学園大学 東洋大学 宮崎公立大学 Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities Toyo University Tokaigakuen University Toyo University Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.79-92, 2019-03-08

本稿は、宮崎公立大学人文学部紀要第25巻第1号に掲載の「犯罪報道の共起ネットワーク分析(1)」(以下、前稿)に続き、犯罪報道分析を行い、その結果をジェンダーの視点から考察したものである。週刊誌報道を対象にKHコーダーを用いて頻出語句を抽出した上で、共起ネットワーク分析を行い、事件報道において何がどのように関連付けて伝えられているのか、数量的かつ体系的にとらえることを試みた。犯罪事件の報道において女性被害者、およびその関係者の伝えられ方について特徴を導出することができた。
著者
四方 由美 中野 玲子 Yumi SHIKATA Reiko NAKANO
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.129-148, 2007-03-20

本論文は、映像メディアで伝えられる従軍慰安婦問題をめぐる言説が視聴者にどのように伝わるかについて、視聴調査のデータに基づき分析を行なったものである。戦後60年を経た現在においても、従軍慰安婦問題は様々な歴史認識が交錯する問題の一つであり、「従軍慰安婦」をめぐっては、いくつかの言説が存在している。本論文では、それらを整理した上で、2001年に「従軍慰安婦」問題を扱ったNHKの番組が、どのような言説の政治の下で改編され問題となったのかを明らかにするとともに、この番組は視聴者の「従軍慰安婦」問題の認識にどのような影響を与えたかについて、番組視聴調査の結果から考察を行なった。