- 著者
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藤波 直人
古賀 妙子
森嶋 彌重
早田 勇
中村 清一
菅原 努
ZAKERI Farideh
- 出版者
- 一般社団法人 日本放射線影響学会
- 雑誌
- 日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第49回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.115, 2006 (Released:2007-03-13)
低線量放射線の健康影響調査の一環として、ラムサール高自然放射線地域住民の外部被ばく線量調査を行った。2005年に2回、高自然放射線地域(Talesh Mahalleh)の住民15名と対照地域(Katalom)の住民10名に電子式個人線量計を1日間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。また、NaI(Tl)サーベイメータを用いて屋内外の線量率を測定し、居住係数を用いて積算線量を推定し、実測値との比較・検討を行った。さらに、同じ住民にOSLバッジを約1箇月間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。
2回行った電子式個人線量計から得られた線量には良好な相関が認められ、これらの実測値と屋内外の線量率からの推定値の間にも良い相関が認められた。したがって、電子式線量計によって得られた1日間の積算線量は妥当であると考えられる。
しかし、OSL線量計バッジによる1箇月間の測定から得られた線量には、電子式個人線量計から得られた線量や、屋内外の線量率から推定した線量とは大きく異なる値が認められた。これは、線量計を長期間常に身に付けるのは非常に煩わしく、着替え・脱衣等の際に外され、部屋の片隅に置かれたままになったことが原因と考えられる。Ramsarの高自然放射線地域では、自然放射性核種濃度の高い建材が住居のどの部分に使用されているかで、屋内の線量率は不規則に大きく変化するため、線量計が置かれてしまった場所によって、結果が大きく変動することになる。
したがって、屋内外の線量率の測定と行動パターンの聴き取り調査による推定値で確認を行えば、感度の良い電子式線量計による1日間程度の測定を季節毎に複数回実施する方が、長期間の測定を行うよりも信頼できる個人線量が得られる可能性がある。