著者
川上 雅彦 中村 清一 金子 日和 滝沢 潤 馬場 美智子 三上 正志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.467-471, 1998
被引用文献数
1

医院と総合病院医師の禁煙指導に違いがあるであろうか。アンケートにより都内の医院医師245人(C群)と総合病院医師366人(G群)を比較した。その結果喫煙率は両群とも本邦の一般市民より低率であり, 年齢による傾向は見られなかった。診療中患者に喫煙状態を聞いている医師の割合に差がなかったが, 聞いている医師の間では, 疾患により必要があれば聞く医師に比し, 全員/ほとんど全員に聞く医師はG群で多かった。喫煙患者に禁煙アドバイスをしている医師はC群で多かったが, している医師の間では積極的にしている医師がG群で多かった。C群では医師自身の喫煙状態や喫煙に対する態度が禁煙指導の熱意と関連したが, G群ではこの関連を認めなかった。以上より, C群の医師は患者に禁煙アドバイスを行いやすい環境にあること, G群には専門診療分野の性格上これを行いにくい医師と禁煙指導に積極的な医師がいることが推測された。
著者
田井中 秀嗣 織田 肇 中村 清一 田淵 武夫 野田 哲朗 三戸 秀樹
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.241-249, 1998-11-20
参考文献数
22

阪神淡路大震災における勤労者のストレス-家屋被害別にみた1年半後のストレス症状-:田井中秀嗣ほか.大阪府立公衆衛生研究所労働衛生部-阪神淡路大震災被災地域に職場のあった勤労者を対象に, 震災1年半後に, 被災実態とストレス関連症状の有無を尋ねる質問紙調査を実施した.製造業, 病院, 地方公務員, 交通・港湾関連の勤労者3, 015名から回収(回収率40%)した質問票を分析した結果, ストレス関連諸症状の訴えは家屋被害が大きい群ほど高く, また, それら諸症状の訴えは時間経過に伴い減少するが, 家屋被害の大きい群では1年半後にも高い訴えを示す.心的外傷後ストレス障害(PTSD: Post Traumatic Stress Disorder)様の症状を示す者の比率を男性勤労者についてみると「家屋被害なし, あるいは軽微であった群」では, 震災直後21.8%, 3ケ月後12.9%, 1年半後3.7%であり, 直後にはかなりみられるが, 1年半後は少ない, 他方「家屋被害が大きく元の家に住むことができなかった群」では, 直後48.0%, 3ケ月後34.2%, 1年半後12.6%であり, 直後も多く, かつ, 1年半後もかなり多い.持病の再発・悪化を訴える者の比率は震災直後頃よりも3ケ月後頃に高く, 1年半後でもほとんど減少せずそのまま残る.職業上の問題としては, 失業不安, 震災後の繁忙と過労, 無理な出勤, 通勤の不便, 危険を感じながらの作業, 収入減, 勤務地の変更・出向が訴えられた.
著者
佐藤 勝重 中村 清一 小関 隆 山内 富美子 馬場 美智子 三上 正志 小林 龍一郎 藤川 晃成 長岡 滋
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.1037-1041, 1991-08-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2

56歳女性. 右耳痛・右顔面痛を主訴に当院耳鼻咽喉科を受診, その後右耳介及びその周囲に水疱形成がみられ, 急性呼吸不全を呈して当科に紹介された. 血中抗帯状疱疹ウイルス抗体価は1,024倍と上昇, 神経学的に多発性脳神経麻痺を呈し, 胸部X線写真上右下肺野に浸潤影が見られた. 多発性脳神経麻痺を合併した Ramsey Hunt 症候群と診断, 急性呼吸不全の原因は反回神経麻痺による中枢部気道閉塞と嚥下性肺炎によるものと考えられた. 抗生剤と抗ウイルス剤 (アシクロビル) の併用により著明な改善がみられた. 文献的検索では, 下部脳神経麻痺を合併した Ramsey Hunt 症候群の報告は比較的少なく, さらに, 呼吸器合併症を呈した症例は稀であった.
著者
藤波 直人 古賀 妙子 森嶋 彌重 早田 勇 中村 清一 菅原 努 ZAKERI Farideh
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第49回大会
巻号頁・発行日
pp.115, 2006 (Released:2007-03-13)

低線量放射線の健康影響調査の一環として、ラムサール高自然放射線地域住民の外部被ばく線量調査を行った。2005年に2回、高自然放射線地域(Talesh Mahalleh)の住民15名と対照地域(Katalom)の住民10名に電子式個人線量計を1日間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。また、NaI(Tl)サーベイメータを用いて屋内外の線量率を測定し、居住係数を用いて積算線量を推定し、実測値との比較・検討を行った。さらに、同じ住民にOSLバッジを約1箇月間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。 2回行った電子式個人線量計から得られた線量には良好な相関が認められ、これらの実測値と屋内外の線量率からの推定値の間にも良い相関が認められた。したがって、電子式線量計によって得られた1日間の積算線量は妥当であると考えられる。 しかし、OSL線量計バッジによる1箇月間の測定から得られた線量には、電子式個人線量計から得られた線量や、屋内外の線量率から推定した線量とは大きく異なる値が認められた。これは、線量計を長期間常に身に付けるのは非常に煩わしく、着替え・脱衣等の際に外され、部屋の片隅に置かれたままになったことが原因と考えられる。Ramsarの高自然放射線地域では、自然放射性核種濃度の高い建材が住居のどの部分に使用されているかで、屋内の線量率は不規則に大きく変化するため、線量計が置かれてしまった場所によって、結果が大きく変動することになる。 したがって、屋内外の線量率の測定と行動パターンの聴き取り調査による推定値で確認を行えば、感度の良い電子式線量計による1日間程度の測定を季節毎に複数回実施する方が、長期間の測定を行うよりも信頼できる個人線量が得られる可能性がある。