- 著者
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(明)李時珍//撰, (明)李建中//図
- 出版者
- 胡承竜
- 巻号頁・発行日
- 1590
本資料は各冊に「[久寿堂]本草綱目」と刷られた題箋が貼られており、冊1冒頭に「函碕文庫」「故榊原芳埜納本」「東京図書館蔵」の諸印がある。函碕文庫は幕医田沢仲舒(なかのぶ、?-1850)の文庫で、冊27の末尾に仲舒の識語がある。上記印と識語から、本資料は田沢仲舒が幕府医学館の館主を代々勤めた多紀家に献呈(題箋はその折、『本草綱目』の最良本という久寿堂本にあやかって貼付したらしい)、のち榊原芳野を経て東京図書館(当館の前身)に移ったとわかる。『本草綱目』の初版本は冊1の「輯書姓氏」欄に「金陵後学胡承竜梓行」と記すので「金陵本」と呼ばれるが、本資料の同欄にはこの字句が存在するので、金陵本に間違いない。ただ、本文に8丁分の補写がある。この金陵本は伝本が少なく、現存の完本(多少の補写を含む)は世界で7点だけだが、うち4点が日本にある。所蔵館は、1.国立国会図書館(本資料)、2.東洋文庫、3.公文書館内閣文庫、4.東北大学附属図書館狩野文庫。(磯野直秀)