著者
稲葉 瑛志 Inaba Eiji
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 = Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-13, 2022-03-31

本論は、20世紀ドイツの作家・思想家エルンスト・ユンガーの初期思想を、ヴァイマル共和国の「危機」に対する応答として明らかにする試みである。歴史学者デートレフ・ポイカートは「古典的近代」の病理論のなかで、過度な近代化のもたらした光と闇を鮮やかに描き出した。しかしその議論においては、経済危機という実体があまりにも重視されることによって、この時代の経験的次元における「危機」の複雑性が単純化されてしまったのである。本論は、「危機」概念の3つの意味内容を検討し、そこに従来見落とされてきた「危機」の「ユートピアの精神」を分析の中心に据え、ユンガーの初期作品を読み直すことを試みた。とりわけユンガーの歴史観、思考法、構想について考察し、黙示録的歴史観、「好機としての失敗」の思考法、「技術の完成」の秩序構想を抽出した。

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PDFあり。 ⇒稲葉 瑛志 「エルンスト・ユンガーの初期作品と「危機」の言説」 『人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要39』 (2022) https://t.co/bqz5mxwoxT

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