- 著者
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志賀 文哉
- 出版者
- 富山大学人間発達科学部
- 雑誌
- 富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.1, pp.99-103, 2016-10-25
2011年3月の東日本大震災から既に5年以上が過ぎ,復興のプロセスとしては「集中復興期」から「復興・創生期間」へと移行している。「創生」の言葉には,高台移転や災害公営住宅建設を着実に進めることや福島県における帰還困難区域以外での避難指示解除を進めることなど,次の段階すなわち復興後の自立した地域を形作ることが含まれている。しかし,2015年3月現在においても高台移転が予定の半分も進んでおらず災害公営住宅も6割程度の見込みである状況から大きく前進することは難しいと考えられる(復興庁,2016)。移転や建設が可能なところはすでに着手するか完了しており,復興にかかる助成も大きく減らされるためである。また地域の自立が求められるなかで,被災地にとどまった若年層も仕事や新しい生活を求め,これを機に域外に流出することが懸念されるため,応急仮設住宅から出た後に地域にとどまる人は高齢者が中心になることも考えられる。震災前とは大きく異なる地域に居続ける人たちの健康状態や今後の希望とそれに対応する国や行政の支援のあり方に関心が寄せられている。本調査では,応急仮設住宅から災害公営住宅他の住居への転居が本格化する,震災後4年目~5年目に応急仮設住宅で生活している人を対象に,ストレス対処力および現在の暮らしぶりを調べ,その現状を明らかにするとともに,結果内容を行政と共有し今後の効果的な対応に活用してもらうものとした。