- 著者
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田中 信之
- 出版者
- 富山大学国際交流センター
- 雑誌
- 富山大学国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Education and Research, University of Toyama (ISSN:21891192)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.1-11, 2017-12
本研究はアカデミック・ライティング活動であるテキスト批評において学習者の主体性や自律性,協働性の育成をめざした評価活動を試みた。この評価活動とはルーブリックによる記述式内省活動と対話的推敲活動を組み合わせたものである。研究目的は学習過程の中に埋め込まれた評価活動における学習者の認識のプロセスを探ることである。学期末に学習者にインタビューを行い,M-GTAを用いて分析した。結果,学習者の認識のプロセスには《不足部分の気づき》《評価項目の意識化》から《実行できる》という方向へ進むことがわかった。また,5つの機関の学習者の認識プロセスを分析した原田他(2017)と比較すると,本研究には《自己内対話》《学びの実感》が存在しない点が大きく異なる。学習者の内省記述量の少なさからみると,《自己内対話》が不十分であったため,《実行できる》より自律的・発展的な《学びの実感》が持てなかったと推察できる。