著者
濱田 美和
出版者
富山大学国際交流センター
雑誌
富山大学国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Education and Research, University of Toyama (ISSN:21891192)
巻号頁・発行日
no.4, pp.13-20, 2017-12

日本の大学の授業では,講義に対する意見,感想,質問等を書くコメントシートがよく用いられるが,一定の日本語力を有する留学生でもコメントシートを書くときに様々な日本語の誤りが見られる。留学生がコメントシートを書く際に日本語の語彙・文法上どのような困難点があるかを把握するため,中上級レベルの日本語力を有する留学生が書いたコメントシート262件から抽出した,語彙・文法にかかわる誤用832例をもとに分析を行った。その結果,語句の選択にかかわる誤用が最も多く,そのほかには話し言葉の使用,助詞,テンス・アスペクト,複文,文法形式,活用,語句の使用,やりもらいにかかわる誤用が多く見られた。複数の留学生に共通して見られる誤用も多くあった。これらに焦点を当てて今後さらにデータ数を増やして詳しく分析を行い,その結果をもとに留学生が効率的に日本語でのコメントシートの書き方を学べるような指導方法および教材の開発に取り組みたい。
著者
濱田 美和
出版者
富山大学国際交流センター
雑誌
富山大学国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Education and Research, University of Toyama" (ISSN:21891192)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.59-59, 2014-12

「日本語学習支援サイトRAICHO」(以下,「RAICHOサイト」, http://raicho.ier.u-toyama.ac.jp)は,富山大学に在籍する留学生の日本語学習を総合的に支援するための一つの手段として,国際交流センターが運営しているサイトである。本サイトのねらいは,富山大学で学ぶ留学生の学習を支援するという点にあり,ターゲットを富山大学の留学生に限定することで,サイトに掲載する情報を絞り込み,利用者が必要な情報に容易にアクセスできるようにするという点に重点をおいている(ただし,サイト自体は学内外を問わず利用できる)。本稿では,RAICHOサイトの2013年度の整備状況について報告し,今後の展望を述べる。
著者
副島 健治
出版者
富山大学国際交流センター
雑誌
富山大学国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Education and Research, University of Toyama (ISSN:21891192)
巻号頁・発行日
no.4, pp.21-29, 2017-12

近年の日本人学生は「内向き志向」であると言われる。本報は,日本人学生が改めて自文化である日本語・日本文化を学ぶことを,グローバルマインドを身につける1つのアプローチとして位置づけ,その学びにより自らのアイデンティティーを確認し誇りを持って外へ目を向けるようになる契機となるのではないかという「グローバル人材育成」の試みとして実践した報告である。関わった学生たちは,日ごろ気に留めていなかった「日本語」をあらためて学び,「発見」することを経験した。その新鮮な経験によって,教養としての知識を身につけるということだけにとどまらず,気おくれすることなく外国(語)へ目を向けることのできる日本人としての自負も生まれ,留学することを考え始める学生もでた。「グローバル人材育成」という観点から,自己の文化を見つめ直すことが重要であることが明らかとなった。
著者
田中 信之
出版者
富山大学国際交流センター
雑誌
富山大学国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Education and Research, University of Toyama (ISSN:21891192)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-11, 2017-12

本研究はアカデミック・ライティング活動であるテキスト批評において学習者の主体性や自律性,協働性の育成をめざした評価活動を試みた。この評価活動とはルーブリックによる記述式内省活動と対話的推敲活動を組み合わせたものである。研究目的は学習過程の中に埋め込まれた評価活動における学習者の認識のプロセスを探ることである。学期末に学習者にインタビューを行い,M-GTAを用いて分析した。結果,学習者の認識のプロセスには《不足部分の気づき》《評価項目の意識化》から《実行できる》という方向へ進むことがわかった。また,5つの機関の学習者の認識プロセスを分析した原田他(2017)と比較すると,本研究には《自己内対話》《学びの実感》が存在しない点が大きく異なる。学習者の内省記述量の少なさからみると,《自己内対話》が不十分であったため,《実行できる》より自律的・発展的な《学びの実感》が持てなかったと推察できる。