著者
水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.93-101, 2021-10-22

諸外国のASD者の運転に関する研究を概観した。免許取得率は定型発達(TD)者よりも低いがその割合は一様ではなかった。免許取得過程には指導者の障害理解や指導スキル,本人の障害の開示などの問題があった。運転への自信や不安についての研究結果は一意ではなかった。障害特性が運転に与える影響の検証は多数あり,社会的状況認知や視覚運動の協調など諸側面でASD者の運転行動がTD者よりも拙劣とする結果があるが一貫性はなかった。また路上運転ではなくドライビングシミュレーターによる検討がほとんどであった。運転改善の検討からは,構造化,明瞭化,実演して見せるなどの方略の有効性が示された。以上よりASD者がTD者と比べて運転リスクが高いといえる一貫した証左はなく,個々の事例性に大きく依拠することが示唆された。今後わが国でも実証的研究の蓄積とそれに基づくシステマティックレビューやガイドラインの作成が求められよう。

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https://t.co/0XDs7rmc3E 最近懇意にしている配信者さんが小児分野やってるからこれも置いておくか。ASD者の運転免許取得における難しさ等々について。いろんな視点での読み方があるだろうけど、これは酔いが覚めたらちゃんと読む。

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