- 著者
 
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             樋口 忠成
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 千里地理学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - ジオグラフィカ千里 = Geographica Senri
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.1, pp.219-234, 2019-03-30 
 
          
          
          
        
        
        
        デトロイトは近年人口減少により衰退するラストベルトの最大都市である。デトロイト大都市圏が人口のピークを迎えた1970年から人口は停滞・減少し,その大都市は雇用の喪失とともに人口減少に見舞われた。本稿では,衰退するデトロイト大都市圏で人口分布がどう変化しているかを分析した。デトロイト大都市圏では,中心市の急速な人口減少がみられ,郊外では人口が増加しているものの,それは中心市の人口減少を補うほどではなく,大都市圏の衰退が進んでいることと,主要な郊外都市でも人口減少に見舞われることが多いことがわかった。また1970年頃の人口の大きな動きはデトロイト市内の黒人人口の急増に伴う郊外へのWhite Flightであり,郊外の白人専用居住地域とデトロイト市内の黒人専用住宅地域という人種的分断が地理的分断と重なっていた。現在ではデトロイトからの黒人の郊外化Black Flightに伴い,デトロイト市の空洞化がさらに進行しているものの,白人専用だった郊外住宅地での人種的融合が進行している状況が確認できた。