著者
古松 丈周
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.315-329, 2017-12-10

本稿は、ポール・M・スウィージーの資本主義発展論を、彼のローザ・ルクセンブルク論の検討を通して明らかにするものである。ローザ・ルクセンブルクの『資本蓄積論』は、資本主義の枠内での資本蓄積の可能性を否定し、剰余価値実現のための需要を非資本主義世界に求めた。この理論は多くのマルクス主義者によって否定されてきたが、スウィージーはこの理論を否定しながらも、彼女を高く評価し、彼女の問題意識を引き継ぎながら自らの理論を構築していった。初期の主著『資本主義発展の理論』のローザ・ルクセンブルク論、そしてローザ・ルクセンブルク『資本蓄積論』のイタリア語版によせた序文にはルクセンブルクに対する批判とともに、彼女の問題意識をどう引き継ぐかという問題意識が示される。そして『資本主義発展の理論』の16章「世界経済」では、ルクセンブルクの理論を世界経済分析に発展させ、非資本主義地域が資本主義地域の資本輸出の対象となり、資本蓄積の源泉となることを明らかにしたのである。

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