著者
丸茂 弘幸 青木 太郎 木下 光
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.583-588, 1999-10-15

東京市区改正委員会の甲武鉄道延伸計画審議の議事録から,当時の委員会の景観に対する姿勢を明らかにした。本件は,明治22年委員会に付議されたが,この時は景観には触れることなく決定された。その後,関係筋との協議を経て明治25年再度付議された。今度は,鉄道予定地の外濠の樹木保全,四谷・牛込間の眺望の保全等景観に関する議論がなされ条件を付して承認した。着工後も委員会は数次の現場視察を行い粗雑な工事が景観を害していると知事に改善方指示している。さらに明治33年万世橋への延伸の審議の際にも,お茶の水付近の景観保全等の議論がなされた。こうして完成した甲武鉄道の景観は,当時の「風俗画報」にも掲載され,市民からもかなり高く評価されていたといえる。この10年間の委員会の議論の流れの中には景観というものに関する時代の潮流が感じられる。

言及状況

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@thaya2222 複々線化時には土塁側に拡幅したようです。新見付橋付近の航空写真をそえます。 手元で調べた範囲内では以下を参照しました。 日本国有鉄道百年史第4巻 甲武鉄道市街線紀要 https://t.co/KkhjarlSUY 甲武鉄道延伸に関わる審議過程に現れた東京市区改正委員会の景観思想 https://t.co/6kY81jkBIi https://t.co/8wXqP5WBQs

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