著者
西村 昌也
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ1 『東アジアの茶飲文化と茶業』
巻号頁・発行日
pp.75-93, 2011-03-31

中国文化の影響の強いベトナムでは、中国の茶飲習慣受容や茶自体の輸入を古くから行っている。その一方、生茶、竹筒茶、さらには茶とは別種の植物の葉を用いる苦茶などの茶的飲料など独特の茶飲習慣もみられる。東アジア的視点では9 -10世紀頃の越州窯系陶磁器の輸出にともなう茶飲習慣あるいは茶器セットの伝来、17世紀後半から18世紀にかけての煎茶的飲茶習慣の伝来が、ベトナム茶飲史における大きな画期になっていると思われる。また李陳朝以来、仏教(禅宗)との関係も深い。そして、フランス植民地時代には茶業の大規模な拡大があり、それが今日の茶飲慣習の普遍化を促進している。

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