著者
植村 邦彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3-4, pp.337-354, 2004-11-11

ルイ・アルチュセール(1918-1990)は、1960年代に「重層的決定」や「構造的因果性」という概念をマルクス主義に導入することによって、ヘーゲル主義的マルクス主義や実存主義的マルクス主義を批判し、マルクス主義内部での「認識論的切断」を理論化しようとした思想家であり、フランスだけでなく世界的に大きな影響を与えた。しかし、この試みは、思想的言説空間では「構造主義」や「ポスト構造主義」へと向かうマルクス離れに棹さし、アルチュセール自身も、晩年には「偶然性」や「出会い」の理論化を模索しつつ、マルクス主義への批判を表明するにいたった。本稿は、このようなアルチュセールの理論的模索の全体像を明らかにし、その意味を確認しようとするものである。

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デジタルネイティブとマタギドライブの「関係性の美学」をアルチュセールの「出会いの唯物論の地下水脈」から捉えること──「重層的な意思決定」に始まり「出会いの唯物論」に終わるその思想を貫いているのは、歴史における不確定性=偶然性contingence、まさにそれである。 https://t.co/0jk13nN5Wx

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