著者
福井 弘教
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = 公共政策志林 (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.149-163, 2017-03-24

1947年の地方自治法制定を契機として,競馬(中央・地方),競輪,オートレース,競艇という多様な公営競技が順次開始された。これらは主に地方自治体が施行者となって主催し,その収益が財政(地方・国),公益事業等に貢献してきた。具体的には,公共事業を中心に,災害復興,産業経済振興など広範囲に渡り大きな役割を担ってきたが,これはギャンブルという古くから,負のイメージの強い事象に対して,「財政貢献」,「社会貢献」,「競技関連産業振興」という正の側面を入力することにより,本来禁止されている賭博を,正当化する仕組みとなっている。公営競技の売上は高く推移して,順調に財政貢献してきたが,売上のピークは過ぎ,財政貢献はおろか,逆に一般会計からの持ち出しとなっている施行者も存在する。近年は,中央競馬・競艇を除いて存続についての議論がなされるケースが多く,廃止・撤退が相次いでいる。国策としてのギャンブル事業は公営競技以外にも,宝くじやスポーツ振興くじがあり,カジノについても将来の導入が見込める状況となり,既存の公営競技の改革は喫緊の課題である。本稿では,日本発祥の公営競技の変遷,形成過程,仕組みについて,競艇(ボートレース)を中心に概観し,現状分析を行うことにより,公営競技の政策課題を提示した。

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