著者
川添 敏弘
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.46-50, 2018-03-31

重度知的障害者には、自閉症の特徴的な行動が認められる場合がある。その行動特性が理解されないことで、暴力行動を含めた「問題行動」が生じる場合がある。その「問題行動」への対処を間違えれば、深刻な状態を引き起こすことがある。その状況を解決するために、対象者にイヌを介入する研究を行った。動物介在介入では、障害者がイヌに対して自発行動が出現するような関わりを作っていった。イヌとの関係が形成されると、イヌと一緒であれば場所を移動することで様々な困難場面に直面していくことが可能になった。その結果、イヌが存在することで様々な刺激に対応できるようになり「問題行動」が減少していった。このような介入が対象者の行動の変化をもたらし、さらに、職員が新たに出現した適切な行動を評価することで、障害者のQOL (生活の質) が向上していった。事例で示した行動の変化が生じる理由について、イヌを用いた個別の研究で明らかにした。さらに、実際に動物介在介入で用いた学習理論による説明を行った。動物介在介入では、レスポンデント条件付けを重視することで、「問題行動」を変容することが可能となっていると考えられた。本研究では、重度知的障害を伴う発達障害者の「問題行動」へ、これまで報告されていない介入方法を提案することができた。

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重度知的障害を伴う発達障害者の「問題行動」改善を目的とした動物介在介入 https://t.co/oNNwrDFhW2 “犬と一緒にいる中で成功体験を含めた楽しい時間を過ごす事で犬の存在があれば安定した精神状態になっていく” “思いやりや優しさと表現できる行動が観察されるようになった“ イッヌは世界を救う

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