著者
長谷川 倫子
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
no.13, pp.57-60, 2014-03-31

第二次世界大戦後のベビーブーマーである団塊世代へのアンケートで、彼らは青年期に流行した音楽(フォークソング・グループサウンズ・ビートルズ)を自らの世代観として上位に挙げている。団塊世代と音楽の関わりを研究するため、彼らに音楽体験や世代観をインタビューし、その語りを分析ワークシートを用いて構造化した。そこから、「団塊世代における格差・階層意識は、音楽の受容とも関連があるのではないか。」という問題意識が生成された。次に、日本版 General Social Surveys(JGSS-2003&2008)やインターネット調査のデータを用いて、時系列で団塊世代の音楽受容の特徴や階層性との関連を統計的に分析した。その結果、団塊世代が子供の頃の生活レベルや音楽環境は父親の影響を受け、それが現在の音楽聴取や階層帰属意識にも繋がっていることが見出された。また、クラシック音楽は女性や教育年数が長い層に、演歌は男性や教育年数が短い層に好まれていた。団塊世代は多様な音楽ジャンルを好み、複数嗜好の場合、演歌の影響力は大きかった。さらに、親世代→団塊世代→子世代という世代間において、高学歴とクラシック音楽嗜好の継承がみられた。質的・量的研究により、「団塊世代は一括りにされるが、人数が多く競争が激しかった。そこには格差・階層意識が存在し、それは音楽の受容とも様々な関連をしていた。そして、その関連は他世代に比べより顕著であった。」という結果となった。

言及状況

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「団塊世代に多くみられた集団就職の人たちの多くが演歌を好むと推測される。しかし、演歌に関しては、管理職の男性(課長級以上で高学歴)の層にも多く好まれており、…仕事上で人間関係を円滑にする音楽ジャンルといえる。」 https://t.co/1Foe603Z1Y

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