著者
小谷 瑛輔
出版者
将棋と文学研究会
雑誌
将棋と文学スタディーズ
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-45, 2023

『新思潮』派は、芥川龍之介、菊池寛、久米正雄を輩出したことによって、大正文学の特に重要なエコールと見なされてきた。彼らのような若き文学グループは、えてして「創作への灼熱の気」を共有し、「互いに刺激し合」った「友情」に焦点が当てられがちである。それも誤りというわけではないのだが、このように顕彰の物語として消費されてしまう題材においては、「友情」の物語に昇華しにくい不一致を連想させるものは見落とされることになりやすい。しかし、彼らを一人一人独自の矛盾や問題を持ち、それと結び付いた固有の文学性を示した作家として認めるのであれば、むしろ一致し得なかった点や葛藤こそが重要である。実はその一端が、第四次『新思潮』が出発点において掲げ、文壇から受け入れられた主張において、既に示されていた。そしてその争点は、三人の作家が活躍した期間全体を通して問題であり続けた。

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将棋に注目して芥川の生涯を追うと、芥川龍之介の晩年が全く違ったように見えてきます。芥川が生涯、文学をめぐってどのような軸で考えていたのかが分かってきます。 小谷瑛輔「文学は遊戯か――芥川龍之介と『新思潮』派の同人たち」『将棋と文学スタディーズ2』2023年3月 https://t.co/DYXEx8R4Tz
芥川龍之介や菊池寛を輩出したことで有名な『新思潮』派は、遊戯を排する文学グループとして登場し、他方では遊戯的文学観を提示したりと、内部対立も含めて揺れ動き続けました。その問題を論じた拙論が掲載された『将棋と文学スタディーズ2』が出ました。pdfで読めます。https://t.co/DYXEx8R4Tz

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