著者
柴田 健 SHIBATA Ken
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.203-212, 2016-03-31

スクールカウンセラーの学校教育への浸透に伴い,学校教育の「心理主義化」が問題となっている.2011年3 月に発生した東日本大震災に伴い,秋田県は多数の被災転校生を受け入れることとなり,これをきっかけに急激な「心理主義化」が進んだ.被災転校生には「心の傷」があるという言説が流布し,学校に緊急スクールカウンセラーが導入され,被災転校生のカウンセリングや教員へのコンサルテーションが行われることとなった.筆者は緊急スクールカウンセラーの一人として,教員へのコンサルテーションを中心に活動した.コンサルテーションを行うに当たっては,「心の傷」言説に与することなく,転校生受け入れの際に教員が行った活動や工夫を明らかにするというインタビュアーの役割を取った.本稿では,3 つのコンサルテーション活動について報告し,社会構成主義的心理療法の観点から考察を行った.

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