著者
高橋 直樹 柴田 健一郎 平田 大二 新井田 秀一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.375-395, 2016-08-15 (Released:2016-09-02)
参考文献数
93
被引用文献数
2

「葉山-嶺岡帯」は,南関東地方の三浦半島から房総半島南部にかけて伸びる特徴的な地形,地質構造を示す地質帯で,新第三紀以降の地層が主体の両半島の中でも最も時代の古い地層が露出するほか,蛇紋岩類,玄武岩類などのオフィオライト様岩類が産出する.玄武岩類は主として40〜50Maの年代を示し,中央海嶺やホットスポット,および島弧の性質を示す岩石が認識されている.本地帯はフィリピン海プレートの沈み込みに伴って形成された中新世~更新世の外縁隆起帯,ならびに関東地方において第四紀以降に発達した関東構造盆地の南縁として位置づけられている.本地帯では地すべりの発達による緩傾斜地形,東西方向のリニアメント,独立峰など特異な地形が認められる.三浦半島には活断層の存在が認定され,本地帯全体での活構造の存在を暗示させる.本コースでは,葉山-嶺岡帯を,房総半島嶺岡帯の東端から西端まで,さらに,浦賀水道を挟んで三浦半島葉山帯の東端から西端まで全域を横断し,本地帯の地形や構成する地層・岩石をひととおり観察し,本地帯の共通する特徴や地域ごとの相違を確認しながら,本地帯の地質構造発達史を考える.
著者
柴田 健一郎
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.363-374, 2007-08-25 (Released:2007-12-21)
参考文献数
93

微生物の有するリポタンパク質 (LP) がグラム陰性菌のリポ多糖体 (LPS) と同様な種々の免疫生物学的活性を有し, その活性部位はN-末端リポペプチド (LPT) 部分であることは古くから知られていたが, Toll-like receptor (TLR) が発見されるまでその受容体は明らかにされていなかった。TLR発見以来, LPならびにLPSの認識機構が研究され, それぞれの認識にTLR2ならびにTLR4が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また, LPの有する新たな免疫生物学的活性ならびにLPによるマクロファージ, 樹状細胞等の活性化のメカニズムも分子レベルで明らかにされている。さらに, MHC分子に結合する抗原ペプチドをLPT化することにより, 免疫原性が顕著に増加することも明らかにされ, 新規ワクチンとしての研究もなされている。本稿では, 微生物由来LP・LPTの生物活性ならびに自然免疫系による認識機構について最近の知見をもとに概説している。
著者
柴田 健一 立本 博文
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0160726a, (Released:2017-05-17)
参考文献数
65

本稿では競争ダイナミクスの主な先行研究のレビューを実施した。競争ダイナミクスは、企業の競争行動が競合企業のどのような反応を引き出し、それがどうパフォーマンスにつながるのかを実証的に研究する領域である。競争ダイナミクスの歴史はまだ浅いが、近年は多くの研究成果が発表されている。本稿では、競争ダイナミクスの研究の中から主要な論文を抽出し、そこで用いられている具体的な説明変数、被説明変数を整理し、競争ダイナミクスの研究領域を明確にすると同時に、現時点での当該分野における研究の成果について詳しく議論していく。
著者
水出 靖 藤井 亮輔 近藤 宏 和田 恒彦 岡田 富広 柏木 慎太郎 栗原 勝美 西村 みゆき 柴田 健一 高澤 史 古川 直樹 長谷部 光二
出版者
日本理療科教員連盟
雑誌
理療教育研究 (ISSN:13498401)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.9-17, 2016 (Released:2019-02-04)
参考文献数
16

【目的】慢性膝痛に対するマッサージ療法の有効性を検証するため多施設間連携による ランダム化比較試験を行った。 【対象】施術所・通所介護事業所5 施設の利用者で一定の基準を満たす膝痛を有し、本 研究の趣旨に同意の得られた29 例(平均年齢67.9 ± 7.7 歳)を対象とした。 【方法】介入群(膝周囲の軟部組織に対するマッサージと運動療法、以下M 群)と対 照群(安静臥床、以下C 群)に乱数を用いて無作為に割付け、膝関節屈曲可動域、殿 踵間距離、膝窩床間距離、疼痛出現しゃがみ込み角度、TUG test、5 m 歩行時間・ 歩数、疼痛のVAS について介入前後で比較した。 【結果】両群間の介入前後の変化は、膝屈曲角度、膝窩床間距離、疼痛出現しゃがみ 込み角度において交互作用を認め(すべてp<0.05)、M 群で有意に改善した(各 p<0.01、p<0.05、P<0.01)。また、すべての被験者に明らかな有害事象は認めなかっ た。 【考察・結語】慢性膝痛に対するマッサージ療法は、関節機能の改善に有効かつ安全性 の高い方法であることが示唆された。
著者
柴田 健 SHIBATA Ken
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = Bulletin of the Center for Educational Research and Practice, Faculty of Education and Human Studies, Akita University (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.38, pp.203-212, 2016-03

スクールカウンセラーの学校教育への浸透に伴い,学校教育の「心理主義化」が問題となっている.2011年3 月に発生した東日本大震災に伴い,秋田県は多数の被災転校生を受け入れることとなり,これをきっかけに急激な「心理主義化」が進んだ.被災転校生には「心の傷」があるという言説が流布し,学校に緊急スクールカウンセラーが導入され,被災転校生のカウンセリングや教員へのコンサルテーションが行われることとなった.筆者は緊急スクールカウンセラーの一人として,教員へのコンサルテーションを中心に活動した.コンサルテーションを行うに当たっては,「心の傷」言説に与することなく,転校生受け入れの際に教員が行った活動や工夫を明らかにするというインタビュアーの役割を取った.本稿では,3 つのコンサルテーション活動について報告し,社会構成主義的心理療法の観点から考察を行った. With the introduction of the school counselorto school education, "psychologism in schooleducation" has become a problem. As a result ofthe Great East Japan Earthquake that occurred inMarch 2011, Akita Prefecture has accepted a largenumber of transfer students from the disasterareas. Along with this, Sudden "psychologism"has progressed. A discourse that transferstudents have" psychological trauma" was spread,emergency school counselor is introduced into theschool, and counseling for the transfer studentsand consultation for the teachers were carriedout. As one of the emergency school counselor, Idecided to center activities counseling for teachers.In carrying out the consultation, I did not adoptthe "psychological trauma" discourse, took therole of the interviewer that clarified the activitiesand ideas that teachers have made at the timeof transfer student acceptance. In this paper, Ireported the consultation 3 activities, and discussedfrom the point of view of social constructionismpsychotherapy.
著者
大原 昌之 羽崎 完 大場 かおり 柴田 健治 森澤 早苗 石原 崇史
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.430-431, 1994-11-30

患側上肢に奇妙な不随意動作を認めた右片麻痺の一症例を経験した。症例は74歳。女性。左前頭葉後部の皮質下出血による右片麻痺を呈していた。発症後6日目に血腫除去術が施行された。発症後約5週頃より右手で眼前の物を不随意的に取り上げる動作を示した。患者の示した不随意動作は道具の強迫的使用現象の不完全型であると考えられた。本症例では, 不随意動作が患者の治療課題遂行やADLを阻害しているのか否かに留意し, 理学療法を実施した。
著者
柴田 健一郎
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.363-374, 2007-12-21

微生物の有するリポタンパク質(LP)がグラム陰性菌のリポ多糖体(LPS)と同様な種々の免疫生物学的活性を有し,その活性部位はN- 末端リポペプチド(LPT)部分であることは古くから知られていたが,Toll-like receptor(TLR)が発見されるまでその受容体は明らかにされていなかった。TLR 発見以来,LP ならびにLPS の認識機構が研究され,それぞれの認識にTLR2 ならびにTLR4 が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また,LP の有する新たな免疫生物学的活性ならびにLP によるマクロファージ,樹状細胞等の活性化のメカニズムも分子レベルで明らかにされている。さらに,MHC分子に結合する抗原ペプチドをLPT化することにより,免疫原性が顕著に増加することも明らかにされ,新規ワクチンとしての研究もなされている。本稿では,微生物由来LP・LPTの生物活性ならびに自然免疫系による認識機構について最近の知見をもとに概説している。
著者
正木 博明 柴田 健吾 星野 秀偉 石濱 嵩博 齋藤 長行 矢谷 浩司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1892-1902, 2020-12-15

ナッジは人の選択肢を奪うことなく人の行動をある方向に誘導するものである.本研究では,若年層ユーザがSNSにおけるプライバシや安全上の脅威を避けるためのナッジの効果を検討した.プライバシや安全上の脅威に関する9つのシナリオにおける若年層SNSユーザの意思決定が,15種類の異なる警告文のナッジによってどのように変化するのかを比較するオンライン調査を実施した.若年層SNSユーザから合計38,606回答を収集し,異なるナッジが回答に与える影響を統計的に分析した.最後に,若年層SNSユーザのためのナッジデザインのデザイン指針を述べる.
著者
柴田 健司 石田 道彦 堀 浩明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.313, 2006

廃棄物最終処分場の新設に対して、改正共同命令に示された構造基準を上回る多層遮水工や漏水検知システムが採用されている処分場が多く見受けられる。著者らは、クラッシャランや砕石砂を母材としたベントナイト混合土層の基本物性、力学特性を室内試験により評価し、土質遮水層上にアスファルトコンクリート層で遮水シートを挟み込んだ遮水工を敷設する多層遮水工を提案した。本構造にすれば、遮水シート下に強度の大きいアスファルトコンクリート遮水層と層厚の厚い土質遮水層を敷設することで、外力に対する抵抗性を高めることができる。さらにアスファルト系遮水シートを採用すると、アスコン遮水層と全ての遮水層を密着させることができ、遮水材料が損傷したときの汚水拡散リスクを低減し、遮水シート上に敷設したアスファルトコンクリートにより遮水シートも強固に保護することができる。
著者
小林 美亜 竹林 洋一 柴田 健一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.568-577, 2018-11-15

診療報酬による「身体拘束最小化」への誘導 高齢化の進展と共に認知症高齢者の入院が増加している。急性期病院(看護配置7対1及び10対1)では、認知症をもつ患者の入院割合は約2割を占め、そのうち、半数以上がBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理症状)を有しており*1、身体合併症の治療だけでなく、認知症高齢者の中核症状およびBPSDへの対応能力を高め、身体拘束を防止し、認知症高齢者の尊厳を保障することが急務の課題となっている。 診療報酬でも、医療機関は身体拘束を減らす方向に誘導がなされている。2016年の診療報酬改定では「認知症ケア加算」が新設され、身体的拘束を実施した日は、当該点数が40%減額となるペナルティが課せられるようになった。また、2018年の診療報酬改定では、看護補助加算や夜間看護加算の算定において、「入院患者に対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整えること」「また身体的拘束を実施するかどうかは、職員個々の判断ではなく、当該患者に関わる医師、看護師等、当該患者に関わる複数の職員で検討すること」といった身体拘束などの行動制限を最小化する取り組みを行うことが要件となっている。