著者
松本 和也 マツモト カツヤ
出版者
神奈川大学人文学研究所
雑誌
人文学研究所報 = Bulletin of the Institute for Humanities Resarch (ISSN:02877082)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-20, 2021-09-27

本稿では,昭和10年代(1935~1944)における地方文化(運動)を主題とした言説を,特に文学言説を軸として分析― 考察した。Ⅱでは,地方主義文学や故郷・郷土を語る文学言説を通じて「地方(文化)」という概念が注目されていた様相を確認する。Ⅲでは,昭和15年の日本文化論の再評価と連動して展開された地方文化言説について,再燃していく地方文学を中心に検証した。この時期,「地方」には,内地の周辺部と外地の日本が含まれていた。Ⅳでは,大政翼賛会文化部が主導した地方文化運動に注目し,文化部メンバーの発言や地方での受容などを分析した。この時期には,国民文化=地方文化を大東亜文化,世界文化へと展開していく回路も言説化されていった。太平洋戦争開戦後を扱うⅤ・Ⅵでは,疎開も含めて,地方文化(運動)が「戦力」として位置づけられていく地方文化言説を検証した。ここで地方文化言説は,文化と生活とが「戦力」において一体化する帰結を迎える。

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#寝る前に論文読む 73 松本和也「昭和10年代における地方文化(運動)言説--文学(者)を軸として」 https://t.co/jG1IhCyUHL 「このように、言説上において地方文化(運動)という主題は、日本文化/西洋文化の再編成とも連動する」

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