著者
Yulong Jia 賈 玉龍
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.141-198, 2022-11-11

従来の人類学的中国研究では,「宗族(組織)」論と「関係(ネットワーク)」論が漢族社会論の 2 つのパラダイムとして注目されてきた。しかしこれらの研究は,儀礼的・非日常的な場面に注目するあまり,日常生活での人的集合を看過する傾向がある。そこで,本論文では個々人の村民の日常的な活動に注目し,隣人関係が生産と閑暇の場面でどのようにつながる/つながらないのかを明らかにした。具体的には,農繁期の作業現場と農閑期の「玩(wan)」(遊び)の場面をめぐる民族誌的資料を提示し,隣人間の日常的な「集まり」は不特定の相手との時間と空間の偶発的な重なりによって成立するものであることを明らかにした。そして現地語の「碰(peng)」(試しに当たる)がそのような「集まり」を生成する原理と見なせることを指摘し,この概念に着目することで新たな漢族社会論を発見できる可能性があると展望した。

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