著者
湯本 誠
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.105, pp.53-71, 2019-02-25

本稿では,今日の日本では,自殺は常識に反して減少しているという主張の妥当性を検討している。冨高氏と本川氏は戦後日本の自殺率は一貫して減少していると主張する。しかし,1947年を起点とする標準化自殺率の推移を男女別に考察すると,様相は一変する。男性の場合,一貫して減少しているとは決していえず,明らかに3つの自殺急増期が存在する。第2・第3の自殺急増期はいずれも男性中年層の自殺が急増した時期であり,重大な経済的危機の時期と重なり合っている。したがって,自殺は決して減少していない。

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