著者
山内 繁 笠井 あすか
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.40, pp.73-87, 2017-05-31

2015年より小笠原父島二見港において、港湾衛生管理ガイドラインに基づく港湾衛生調査をめざした現地調査を実施している。本年も、ねずみ族及び蚊族の生息調査を行った。ねずみ族調査では、計12匹のクマネズミが捕獲された。クマネズミはペスト菌及び腎症候性出血熱ウイルスの媒介種であり、その病原体及び抗体の保有はなかったが、捕獲率は非常に高かった。蚊族調査は、成虫調査での捕集はなく、幼虫調査でヒトスジシマカ、アカイエカ群、ネッタイイエカの捕集があった。現行の港湾衛生管理ガイドラインでは、蚊族成虫調査にドライアイスを用いた炭酸ガス・ライトトラップ法を推奨しているが、父島ではドライアイスの入手が困難であるため① イースト菌発酵を用いた炭酸ガス・ライトトラップ法、② BG センチネル2を用いたトラップ法について、従来の方法との比較検討を行った。その結果、BGセンチネル2についてはドライアイスを用いた現行の方法と遜色のない結果を得た。今後、二見港では定期的な港湾衛生調査の継続が必要であり、ドライアイスを使用しない成虫調査の方法を選択していきたい。

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