- 著者
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打越 正行
- 出版者
- 首都大学東京・都立大学社会学研究会
- 雑誌
- 社会学論考
- 巻号頁・発行日
- no.32, pp.55-81, 2011-10-01
社会学では,小集団で展開される対面的相互行為の多様性や,その多様な現実を行為者が認識する際に用いる枠組の可変性が議論されてきた.それに対して,本稿では対面的相互行為が小集団にある資源とその集団の規模によって支えられていることに着目する.それによって,対面的相E行為の多様性や枠組の可変性は,小集団の資源や規模といった〈土台〉によって規定されていることを示す.現在の沖縄の暴走族少年らは,家族,学校,地域に必ずしも安定した基盤を持たず,加えて労働市場では流動的な労働力として扱われる.そのような彼らが,行き着く場所である〈地元〉が,直接的相互作用を支える資源と規模を備えた〈土台〉になる過程を,そこで展開される文化の継承過程をもとにみる.まずは彼らが〈地元〉に集まり,さまざまな活動を展開する際に必要最低限の資源に着目する.最終的に〈地元〉に行き着いた彼らは,共有する文化や物語以前に,まずはそこに継続的に集うための資源が欠かせない.続いて,それらの資源を有効に用いるために, 〈地元〉が適切な規模にあることに着目する.それらの資源はもともと廃棄物か流通品であったが,〈地元〉にあることによって,有効な資源となる.よって,規模が適切でないと,それらの資源は再び無効化されてしまう.以上のような実体的な資源と規模を備えた〈地元〉によって,〈地元〉における彼らの対面的相互行為は支えられていることを確認した.