著者
増山 浩人
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.18, pp.137-162, 2020-03

2017年11月9日、ノーラ・ゲーデケ博士は招待講演「ライプニッツと彼の文通」を学習院大学人文科学研究所にて行った。本稿はその招待講演の日本語全訳である。周知のように、ライプニッツは同時代の学者の中でも最も広範な書簡作品を遺した。彼は約1300 人と文通をし、彼が取り交わした手紙の総数は約20000 通にも上る。通常、彼は文通によって主にニュートンなどの遠隔地に住む同時代の有名学者と学術討論を行っていたと考えられてきた。これに対し本稿では、ライプニッツの書簡の定量分析によって以下の二点が示される。1)彼の文通のかなりの部分がハノーファーやその近郊の諸侯や教授たちとの交流のために行われていたこと、2)彼が学術討論だけではなく、情報収集のためにも文通を行っていたこと。以上の議論を踏まえ、本稿はライプニッツ書簡の研究がバロック時代の手紙文化と学者の共和国の実態を解明する手がかりになることを明らかにした。

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@temmusu_n ライプニッツの文通についての情報です ノーラ・ゲーデケ『ライプニッツと彼の文通』 https://t.co/MTovOg5xZ9
拙訳「<資料解題>ノーラ・ゲーデケ『ライプニッツと彼の文通』翻訳と解題」が公開されました。2017年に行われたゲーデケ博士の講演原稿の全訳です。ライプニッツ書簡の分析を通じて、彼の文通活動の特色と目的、当時の「学者の共和国」の活動の一端が明らかにされています。 https://t.co/thQwsWGX3o

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