著者
栗原 崚 Ryo Kurihara
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 = Jinbun (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.20, pp.247-261, 2022-03

本稿は、開放制と対置するものとして理解されてきた目的養成の言説の再考を目的とする。目的養成は、教員の需給調整という計画養成として理解されてきたが、それは開放制による大学の養成教育への「消極的思惟」による帰結であった。教育刷新委員会における務台理作による大学と教員養成の整合性と刷新性についての問題提起は、大学が教員養成とその目的をどのように受け取るのか、という重要な課題を呼び起こすものであったが、今日までその根源的な問いが議論されることはなかった。教師教育における大学の自律性と主体性が危ぶまれるなか、大学が回避してきた養成教育への目的意識を自らの教育と研究の責務のなかに定位する道を提示し、目的養成の新たな位相を明らかにする。

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