著者
山崎 準二 高谷 哲也 三品 陽平 濱田 博文 田中 里佳 高野 和子 高野 貴大 朝倉 雅史 山内 絵美理 村井 大介 長谷川 哲也 栗原 崚
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「省察」それ自体が問い直されぬまま教師の専門性の中核を成す絶対的理念と化す傾向にある今日、大学における教員養成の「省察」言説を相対化し、不可視化された問題状況を明らかにするために、現代日本の大学における教員養成を方向づけてきた「省察」言説とはいかなるものか、またこの「省察」言説が隆盛する中で展開される学びの実態と問題はいかなるものか、という本研究の核心をなす2つの学術的「問い」に応えるため、教師教育における言説の特徴の解明、「省察」が重視される学術的・実践的原理の解明、「省察」による学びの実態把握、そして教員養成における「省察」のあり方の検討、という4つの研究課題に取り組むものである。
著者
栗原 崚 Ryo Kurihara
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 = Jinbun (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.20, pp.247-261, 2022-03

本稿は、開放制と対置するものとして理解されてきた目的養成の言説の再考を目的とする。目的養成は、教員の需給調整という計画養成として理解されてきたが、それは開放制による大学の養成教育への「消極的思惟」による帰結であった。教育刷新委員会における務台理作による大学と教員養成の整合性と刷新性についての問題提起は、大学が教員養成とその目的をどのように受け取るのか、という重要な課題を呼び起こすものであったが、今日までその根源的な問いが議論されることはなかった。教師教育における大学の自律性と主体性が危ぶまれるなか、大学が回避してきた養成教育への目的意識を自らの教育と研究の責務のなかに定位する道を提示し、目的養成の新たな位相を明らかにする。