著者
山岸 博
出版者
京都産業大学先端科学技術研究所
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-10, 2020-07-31

植物の育種においては、育種目標の高度化に伴って、実用作物に有用な遺伝形質を提供する遺伝子供給源の範囲が拡大してきた。この範囲を、作物との有性生殖によって利用できる植物よりさらに大きく広げる方法として、細胞融合が開発された。細胞融合は雑種化の範囲を拡大するだけでなく、葉緑体ゲノムとミトコンドリアゲノムの新しい組合わせを生じる等の利点を有する。本研究では、シロイヌナズナとキャベツの細胞融合によって得られた体細胞雑種を出発点として、Brassica oleracea に属するカイランを主たる花粉親に用いた連続戻し交雑の経過と、その結果得られた雄性不稔個体の特性をとりまとめた。雄性不稔はBC8 世代以降固定し、不稔の原因はシロイヌナズナとキャベツの間で組換ったミトコンドリアゲノムの構造にあると推定された。一方、体細胞雑種後代の種子稔性は、世代の経過とともに向上した。

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