著者
勝矢 淳雄 藤井 健 河野 勝彦 山岸 博 野村 哲郎 遊磨 正秀
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

上賀茂の住民と協働して北大路魯山人生誕地石碑を建立した。反対者への対応の仕方とその波及効果について多くの知見を得た。京都の特産のミズナがスグキナの作物としての成立に関与した可能性が示せた。ナミテントウは、60年前の結果と比べ、日本全土で暖地に適した二紋型の割合が増えていることを明らかにした。台風域内で、風の左右非対称性を明らかにした。近年の河川改修がアユ産卵場を失う可能性のあることを示唆した。
著者
山岸 博 舘石 充 寺地 徹 村山 誠治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.526-531, 1998-07-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
17
被引用文献数
11 14

日本のハマダイコン3系統, 栽培ダイコン8品種および野生種R. raphanistrum 3系統の合計61個体を用いてRAPD分析を行い, 品種・系統内の個体間変異を調査すると共に, クラスター分析によってハマダイコンと他の2種類のダイコンとの関係を推定した.RAPD分析のためのPCRは7種類の10塩基プライマーを用いて個体単位で行った.PCRの結果, 供試個体間で多型を示す73の増幅断片を得たので, これらの断片の有無に関する類似比を, 全個体間1830組合せで算出した.栽培ダイコンは, '小瀬菜, チベット系ダイコン'の2つの在来品種を除き, 80%以上の高い品種内個体間類似比を示した.これに対して, ハマダイコンは70%弱, R. raphanistrumは50∿73%と低い系統内類似比を示し, 集団内での個体間変異が大きいことが示唆された.しかしながら, これら2つの野生ダイコンとも他の系統のハマダイコン又はR. raphanistrumの個体との類似比は系統内のそれに比べて明らかに低かった.個体間類似比を用いたクラスター分析の結果, 一部の例外を除いて同一の品種・系統に属する個体は, 各品種・系統特有のクラスターに含まれた.供試したハマダイコン3系統は, まず3系統で1つのクラスターを形成し, その後多くの栽培ダイコンが含まれるクラスターとの間で大きいクラスターを形成した.栽培ダイコンのうち'時なし'と'みの早生'の2品種は他の大部分の栽培ダイコンとハマダイコンが形成する大きいクラスターには含まれなかった.またR. raphanistrumはハマダイコン, 栽培ダイコンのいずれとも異なる位置を占めた.これらのことから, 日本のハマダイコンは, 野生種R. raphanistrumとは異なり, 栽培ダイコンに遺伝的に近縁な一群の野生ダイコンであることが示唆された.しかしハマダイコンの成立に直接関与したと考えられる栽培ダイコンは, 今回の調査では見出されなかった.
著者
山岸 博
出版者
京都産業大学先端科学技術研究所
雑誌
京都産業大学先端科学技術研究所所報 = The bulletin of the Research Institute of Advanced Technology Kyoto Sangyo University (ISSN:13473980)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-10, 2020-07-31

植物の育種においては、育種目標の高度化に伴って、実用作物に有用な遺伝形質を提供する遺伝子供給源の範囲が拡大してきた。この範囲を、作物との有性生殖によって利用できる植物よりさらに大きく広げる方法として、細胞融合が開発された。細胞融合は雑種化の範囲を拡大するだけでなく、葉緑体ゲノムとミトコンドリアゲノムの新しい組合わせを生じる等の利点を有する。本研究では、シロイヌナズナとキャベツの細胞融合によって得られた体細胞雑種を出発点として、Brassica oleracea に属するカイランを主たる花粉親に用いた連続戻し交雑の経過と、その結果得られた雄性不稔個体の特性をとりまとめた。雄性不稔はBC8 世代以降固定し、不稔の原因はシロイヌナズナとキャベツの間で組換ったミトコンドリアゲノムの構造にあると推定された。一方、体細胞雑種後代の種子稔性は、世代の経過とともに向上した。
著者
勝矢 淳雄 藤井 健 河野 勝彦 山岸 博 野村 哲郎 宇戸 純子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.京都におけるバイオリージョナリズムの展開:地域との連携を通じて、小学生の社家屋敷の見学会、火星や月の観望会、シンポジウム、社家屋敷の特別公開を実施した。賀茂文化研究会を設立し、会誌「賀茂文化」を創刊した。(1)環境資産の保全・継承のための環境バンクの必要性、(2)リーダーの育成の困難さと方策、(3)活性化の方策としての新行事の意義を明らかにした。社家屋敷の見学会は上賀茂探検クラブに移行し、地元の行事として定着させた。バイオリージョナリズムの精神から地域との連携には研究者と地域住民の信頼関係が重要であり、実証的に明らかにした。環境学習の基礎調査も意図して、ナミテントウ集団の翅紋多型に関する調査を上賀茂などで行った。小進化が一定方向に変化しており、気候の温暖化が最も重要な原因である。上賀茂の中位、低位段丘上には、腐植に富む厚い暗色土層が分布し、非アロフェン黒ぼく土で、母材は非火山性物質である。上賀茂特産のスグキナなどに、マイクロサテライトDNAの変異による類縁関係の解析を行い、2つのグループに大別されスグキナはカブ、ハタケナなどと同一グループに属する。環境白書を素材に、環境問題への対処における環境倫理の役割を考察した。2.京都の風と降雨の特性と鴨川への意識:京都地域における風速と降雨量の年最大値を、その発現の原因となった気象擾乱を調べ、発生する線状降水帯の特性を明らかにした。鴨川について、上、中、下流の9つの小学校の6年生と保護者にアンケートを行い、子供たちはもっと鴨川で遊びたいと思っているなど鴨川への意識を明らかにした。3.川にかかわる生活文化と環境の調査:高齢者への聞き取り調査を実施し、過去の明神川への関わり、生活での利用実態を明らかにした。現在の明神川の上流から末端までの水辺空間構成と利用実態の調査および住民意識を調査した。明神川を舞台に「アートプロジェクト」の企画をたてた。