著者
涌田 龍治
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー = Kyoto Management Review (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.89-102, 2021-09-01

本稿の目的は,スポーツの試合に対する需要が結果の不確実性仮説でどの程度説明できるのかを文献レビューを通じて明らかにすることにある.ここでは,不確実とされる結果を短期としているか長期としているかで先行研究を分類し,それぞれの分野で何が明らかになったのかを問う.試合の勝敗という短期的結果の不確実性が需要を左右すると捉える先行研究からは,需要量の増加を正確に捉えることができないと,結果が不確実であっても需要は増加しないように見えるという可能性が示された.シーズンの優勝という長期的結果の不確実性が需要を左右すると捉える先行研究でも,同様の可能性が示された.それゆえ,売上高のような需要量の増加を正確に捉える変数を用いると,多くのスポーツリーグで結果の不確実性仮説が支持されるだろうと推測できる.

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