著者
乾 順子 イヌイ ジュンコ Inui Junko
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.39-54, 2013-03-31

本稿の目的は、既婚女性の人生満足度に着目し、過去における性別分業意識と働き方が、既婚女性の中高年期の人生満足度にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。一時点における生活満足度と従業上の地位・性別役割分業意識との関連については、意識と働き方が一致しているもの、つまり分業賛成と無職、分業反対とフルタイムであるものの生活満足度が高いという分析結果がある。しかし、パートという分業意識と一致しているかどうかが不明確な就業形態については、その関連が明らかにされてはいなかった。また、人生後期の人生を振り返っての満足感と、変更不可能な過去の意識と働き方の関連についての分析もこれまでなされてこなかった。これらは、日本における既婚女性のパート就業率の高さやその多様さを鑑みても、今後の女性就業や雇用政策、家族政策などを考える上でも重要な課題であると考えられる。そこで本稿では、1982 年と 2006 年の2 時点で実施されたパネル調査データを使用し、過去の分業意識と働き方がその後の中高年期の人生満足度に対して影響を与えるかについての分析を行った。その結果、過去の分業意識をコントロールしても、「パート型」のものの人生満足度が最も低かった。さらに、分業意識と職業経歴の交互作用を検討したところ、平等志向の強い「パート型」のものにおいてさらに人生満足度が低くなることが明らかとなった。

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