著者
久山 健太 クヤマ ケンタ Kuyama Kenta
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-17, 2014-03-31

本稿では職業資格の受験行動の規定要因を探る。社会学分野では、教育資格=学歴については階層性や社会的地位獲得手段としての性格が実証的に研究されてきたが、職業資格=いわゆる一般的な「資格」(国家資格、民間検定など)についての実証的・経験的な研究蓄積は乏しい。分析にはSSP-I 2010データを使用した。従属変数は「資格や検定試験などを受験する」という項目であり、受験行動の頻度を尋ねたものである。独立変数には社会的属性に加え「資格活用志向」、「文化行動志向」という変数も作成して用いた。また、教育資格では男女で獲得の意味付けに違いがあると指摘されており、職業資格についても同様の性差が存在すると推測されるため、男女別にデータを分けて分析した。分析の結果、受験行動の規定要因は男女で大きな差の生じている部分と、共通する部分とが存在していた。特筆すべきは学歴と文化行動志向の関係である。文化行動志向は男女とも大きな正の効果を示し、職業資格の受験には文化行動としての側面があり、「文化資格」という類型の存在が示唆された。一方、基本モデルにおいて男性では学歴に効果がなく、女性では高等学歴に正の効果が表れていた。しかし文化行動志向を投入した拡張モデルでは、男性では高等学歴に負の効果が出現したのに対し、女性では逆に高等学歴の正の効果が消滅し、性別による学歴と資格の複雑な関係が示された。

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