著者
大浦 理恵子 安永 悟
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 = Kurume University psychological research (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.11-20, 2007-03-31

本研究の目的は,読み手を特定することが,産出文章の質におよぼす効果を検討することであった。実験参加者は大学生110名であった。実験では,読み手の個人特性に関する情報を与える個人特定群,読み手の属するカテゴリー情報を与えるカテゴリー特定群,読み手情報を与えない統制群に道案内文の作成を求めた。その結果,個人特定群は統制群に比べて,目印の説明が丁寧で,相手を配慮した文章が書けることが明らかとなった。また,読み手情報が与えられなくても自発的に読み手を特定できる参加者も質の高い文章を産出できることが見いだされた。さらに,実験参加者を対象とした調査から,自発的に読み手を想定できる参加者は手紙文作成経験が多いことが判明した。これらの結果を読み手意識活動の活性化の観点から考察した。

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