著者
中川 道子 二村 年哉
出版者
北海道大学留学生センター
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.18-37, 2000-12

日本語学習者の漢字読みテストの誤答にみられた短音化と長音化の傾向が、学習者の聴覚的な音の長短の認識の違いに起因すると推測し、その確かな傾向を探るために2音節語の聞き取り調査を行った。その結果、長母音を短母音と聞く誤り(短母音化)には(1)前音節より後音節に起こりやすい、(2)前音節では拗音を含む長母音が短母音化しやすい、(3)前音節では平板アクセントに、後音節では頭高アクセントに起こりやすい、の傾向があった。短母音を長母音と聞く誤り(長母音化)には(1)前音節より後音節に起こりやすい、(2)「よ」音を含む音節は含まない音節より長母音化率が高い、(3)前音節ではアクセントによる差はあまりないが、後音節では頭高アクセントより平板アクセントに多い、の傾向が見られた。さらに、聞き取り調査に用いたテスト語の持続時間を測定し、前音節と後音節の持続時間の割合を調べたところ、この割合は学習者の誤聴傾向と高い関連性があった。よって前音節と後音節の持続時間の違いが母音の長短の認識のずれの一因となっていると考えられる。

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