著者
山下 好孝
出版者
北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Center
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-13, 2004-12

本稿は、日本語教育におけるテンスとアスペクトの導入で、これまで留意されなかった点を指摘する。動詞「た」形にはテンスとアスペクトの両方の機能が認められる。それが疑問文に用いられ、答えの文で否定形が現れる際、テンスとしての「過去」、アスペクトしての「完了」の解釈が顕在化する。従来は過去の一時点を示す時の副詞と共起する場合、および当該事態が過ぎ去ったこととして解釈される場合は、過去否定形「~なかった・~ませんでした」が使われるとされてきた。しかし、二人の外国人の日本語学習者がそれに対して疑問を呈した。過去を示す副詞と共起する場合でも、これらの形式が使われず、「~ていません・~てないです」というような形式が否定の答えに現れると報告している。上記の報告をデータとして、「過去否定形」が生起する条件を考祭した。そして話し手と聞き手の間に「過去の場の共有」が存在することが、過去形の生起の引き金になると結論づけた。

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で、先の非文の例についても言及している、日本語のテンスとアスペクトについてのちょいと面白い北大のテキスト(PDF)。 https://t.co/Q6KTYLhSI4

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