著者
池上 素子
出版者
北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Center
雑誌
北海道大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-17, 2006-12

「~に関して、~に対して、~を通じて」のような、格助詞に動詞がついて、意味・機能上ひとまとまりになっている表現(本稿では助詞相当句と呼ぶ)には、「~に関して」のようなテ形と、「~に関し」のような連用中止形の両方を備えているものが多い。従来、両者の違いについては文体差以外ほとんど言及されてこなかった。本稿では、両者の間には文体差以外に統語的な差異があることを指摘する。統語的な差異とは、1)「だ/である」による述語化、2)「の」の後接、3)取り立て助詞の後接、4)「なら」の後接、5)格助詞「より」の後接、の5点である。これらについて、テ形では可能な場合が多いが連用中止形では許容されない。ただし「テ形では可能な場合が多い」と述べたように、これらの点が必ずしも全ての助詞相当句のテ形で可能であるというわけではない。文中における各助詞相当句の振る舞いは画一的ではないのである。本稿では助詞相当句毎の振る舞いの違いをも記述し、その背景について考察する。

言及状況

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「格助詞+動詞」構造を持つ助詞相当句をめぐって : テ形 と連用中止形の差異 http://t.co/5DdYWJTS5C

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