著者
谷口 勇仁 小田 寛貴
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.13-22, 2016-06-09

本稿は,大学院の理系研究室の運営を「ラボラトリーマネジメント」と位置付け,効果的なラボラトリーマネジメントを探求するために,ラボラトリーマネジメントの課題を明らかにすることを目的としている。まず,ラボラトリーマネジメントに関連する先行研究を概観した上で,先行研究では民間研究組織との比較検討の視点が欠けていることを指摘した。次に,大学院理系研究室と民間研究組織との比較検討から①小規模な組織,②高い流動性,③PIの大きな自由裁量度,④多面的な成果評価という4つの特徴を導出し,大学院研究室の運営責任者であるPI(Principal Investigator,主任研究員)は,「小規模で流動性が高い組織において,大きな裁量のもとに,多様な成果を達成することを求められている」ことを明らかにした。最後に,上記の特徴を検討し,ラボラトリーマネジメンの課題として,①先輩と後輩の経験格差が非常に小さいことを前提としたOJTの運用と,②実験研修・研究打合せ・研究発表等の制度の構築と維持を指摘した。

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